労働保険料の還付

徴収法の勉強をすると、いつも思い出すことがあります。2年程前の春、勤めていた会社が『民事再生』の申し立てをしました。当時の状況をまとめてみましょう。

  1. 申し立てをしたのは、4月もそろそろ終わるかな・・・って頃でした。で、全従業員に対して5月31日付の解雇予告をしました。
  2. 民事再生をしようか・・・って位ですから、その数年前から悪い状況が続いていて、従業員はドンドンやめていってました。その年の前年1年間で、たしか、数百人程度の従業員がやめてます。
  3. 労働保険料は毎年5月20日までに、前年の確定精算と翌年の概算申告・納付を行います。

この状況で、いったいどのようなコトになるでしょう?。そう、かなり多額の還付金が発生するはずです。しかし、実際は5月20日時点で、還付の請求はされませんでした。発生するハズの還付金とピッタリ同額の概算保険料を算定して、当年度の労働保険料はプラスマイナス“ゼロ”というカタチに調整したのです。まだこの時は、状況が固まっていなかったので、苦肉の策ってコトだったと思います。
ところで、『民事再生』というと、いかにも再生しそうな雰囲気がありますが、清算というのがあるのですね。翌年の3月末まで10人未満の従業員で残務処理をし、会社自体はなくなる・・・って状況になりました。
で、私自身は3月末まで残ることになったのですが、清算されるってコトがハッキリし、残務処理をする10人未満以外の全ての従業員を解雇した8月末時点で、労働保険料の払いすぎている分を返してもらおうと、労働基準監督署に相談に行きました。いや、相談に行ったというよりも、『労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書』の概算保険料を、“8月末時点で支払った(確定した)賃金総額”+“翌年3月末までの10人未満の予想賃金総額”で新たに計算しなおし、5月の年度更新は現実とあまりにも乖離しているので、コチラに訂正した上で還付すべき金額を還付して欲しい・・・と言ったのです。
こんなコトを言ったのには、ワケがあります。『会社のすべての資産をキチンと把握した結果によって、私たちの退職金や債権者への弁済率を決める』という管財人弁護士の話があったのです。この時はまだ、5月末で退職した人も含めて、従業員全員に退職金は支払われていませんでした。すこしでもプラスになるかな・・・と。
相談した結果、労働基準監督署の窓口での答えは、『そんなコトできない』でした。還付は、5月の年度更新の時か、事業を廃止したときの確定申告の時にしかできない・・・と。
今、徴収法のテキストを読んでみても“年度の途中で還付できる”とは書いてませんね。でも、当時の私は(今でも ^^;)徴収法のコトはまったく知りませんでした。で、窓口の人に食い下がったのです。

  1. 翌年3月末に再生計画案提出・承認されて、会社がなくなってから還付されてもイミがない。
  2. っていうか、会社廃止後50日以内に手続きしろっていわれも、手続きをする人がいない。
  3. それよりも、還付金が入るか入らないかで、弁済率や退職金の額が変わるかもしれないって状況なので、早く返してもらわないと困る

話を聞いた窓口の人は、監督署では対応できないので、労働局へ行くようにと言いました。そこで私は、労働局へ資料をそろえて行ったのです。
かなりムチャな話にもかかわらず、労働局で対応していただいた方は、真剣に話を聞いてくれました。で、結果、予算内で対応できそうだから何とかしてみましょう・・・と*1。さらには、残務処理だと色々なコトがあるでしょうけど、体に気をつけて頑張ってくださいね・・・みたいな言葉もかけてくださいました。
それからしばらくして、保険料還付の決定の通知が来て、年内に保険料は還付されました
なんだか、ホッ・・・としたのを覚えています。“お役所仕事”っていうとナンだか冷たいイメージがありますが、労働局は違いましたよ。
でも、それにひきかえ“社会保険事務所”は!(以下、続く・・・かも知れないし、続かないかも知れない)

*1:年度のおわりになってくると、予算も残り少なくなってくるそうなので、ダメだったかもしれませんでした。